災害時における在宅避難の重要性
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カテゴリー:リフォームコラム
東京都品川区に根差して55年、地域密着型の工務店として安心・安全な住まいをお
届けするタイホウ建設です。
最大震度7を観測した能登半島地震。
年始早々に日本を襲った厄災は、私たちが地震大国に住んでいることをあらためて実感する出来事でした。 今回の地震では人命を奪うような津波の被害こそなかったものの、犠牲となった方々の死因として家屋倒壊による圧死が大半を占めることや、避難所生活や環境変化などから体調が悪化して亡くなる「災害関連死」が少なからず見受けられることなどが問題となっています。このように、本来は私たちを守るはずの“家”が災害時には機能しなくなり、それによって死に至ってしまう。こ
の現実に私たちは疑問を感じずにはいられません。
そこで今回は、災害時にご自宅が安心して過ごせる場所として機能するために、日頃からできる備えと在宅避難の重要性についても解説していきます。
特に熊本地震では、地震が直接の原因で死亡した人は50人でしたが、生活環境の悪化などによって亡くなる災害関連死と認定された人はその4倍以上の200人余りに上ったという驚きの結果となっています。
ニュースなどで避難所生活の様子が報道されていますが、実際の避難所生活には想像以上の大変さがあると思います。大空間での集団生活はプライバシーの確保が難しいだけではなく感染症や犯罪のリスクなど様々な問題を抱えています。さらに持病のある方や妊娠中の方などは十分な医療行為を受けることができず、体調が悪化してしまうこともあります。このように、避難所という場所が、本来の目的である「難を避ける」からほど遠い状態にある中で、私たちはどのようにして自らの命を守ればいいのでしょうか。
在宅避難になると、周囲から孤立して必要な物資や情報を得られないのではないかという心配もあるかと思いますが、ご自宅と避難所の両方を使い分けて必要に応じて避難所を利用することもできます。避難所生活はあくまで選択肢の一つと考えて、災害時には在宅避難を考えてみてはいかがでしょう。
もしこのような場所で大地震が起きたらどうなるのでしょうか。倒壊した家、あるいは倒壊の危険性のある家に住んでいる方はおそらく避難所生活となるでしょう。しかし、人口の多い地域では避難所となるような施設が十分に確保されない可能性があることや、もし避難所が確保されたとしても物資の不足や感染症のリスク、衛生面やプラバシーの問題などからストレスの多い生活になり、心身共に疲弊していくことが予想されます。
私たちが在宅避難を推奨する理由としては、このように避難所が安心・安全とは程遠い場所となり、さらには私たちの命を縮めるものとなってしまうこともあるからです。
ガス・水道・電気等のインフラが復旧するまでの数日〜数週間は不自由な生活が余儀なくされ、どこに避難していようとも心身共にストレスが大きいことでしょう。しかし、そのような時こそご自身が一番安心できるご自宅で、少しでも日常に近い生活を送ることが大切ではないでしょうか。
しかしどのような家でも在宅避難が可能なわけではありません。
そこで、在宅避難が可能な家の条件とはどのようなものなのか具体的にみていきましょう。
まず建築面。本震の時に倒壊していないことはもちろんですが、その後断続的に起こる余震でも倒壊しないことが重要です。災害直後にご自宅の倒壊リスクを見極めることは難しいですが、損傷度合いや築年数、構造などから慎重に判断し、大丈夫であれば在宅避難が可能になります。また、ご自宅の場所がハザードマップで津波や土砂災害、高潮・河川氾濫による浸水のリスクがないことも確認が必要です。特に沿岸部では津波や高潮の危険があるので、家自体に倒壊リスクがなかったとしても十分に注意しましょう。
次に物資面。在宅避難をする場合、必要な物資はご自宅で賄うことが理想です。近隣の避難所や災害拠点などに支援物資を受け取りに行くことも可能ですが、行き帰りで被災するリスクなどを考えると、なるべくならご自宅に留まる方が安全といえます。そこで、在宅避難するために必要な備蓄品について一例をご紹介します。目安としては最低でも3日分、できれば7日分の備蓄があるとよいでしょう。
・飲料水(1人1日3ℓ)
・非常食(調理せずに食べられるもの、缶詰、レトルト食品など)
・カセットコンロ
・簡易トイレ
・トイレットペーパー
・ウェットティッシュ
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
他に、乳幼児のいるご家庭ではミルク、ほ乳びん、離乳食、スプーン、おむつ、おしりふき、着替えなど。要介護者のいるご家庭ではおむつ、着替え、障害者手帳、補助具等の予備、そして妊婦のいる家庭では脱脂綿、ガーゼ、母子手帳、新生児用品など必要になってきます。
これだけのものを日頃から備えておくことはなかなか難しいですよね。そこで、日常の中に食料備蓄を取り込む「ローリングストック(日常備蓄)」という考えがあります。
ローリングストックとは、普段から少し多めに食料品や日用品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料品や日用品を家に備蓄しておく方法です。消費と購入を繰り返すことで、備蓄品の鮮度が保たれるというメリットもあります。いざという時のために日常生活の中にローリングストックを取り入れ、日頃から災害に対する意識を高めておきましょう。
まず、今のご自宅が何年に建てられているのか調べます。日本では家を建てる際に建築基準法に準拠して設計していきますが、家の耐震性もこの建築基準法によって基準が定められています。
建築基準法は時代によって改正されていて、特に1981年(昭和56年)に大きく見直されました。1981年以前の耐震基準を「旧耐震基準」、1981年〜1999年の耐震基準を「新耐震基準」といいます。
1981年〜2000年の間に建てられた「81-00木造住宅」(ハチイチゼロゼロ)と呼ばれる建物は、新耐震ではあるものの、2000年に改定された現行耐震基準より耐震性能に不安が残ります。これまで国や多くの自治体が方針として進めているのは「旧耐震(1981年以前)」の木造住宅の耐震化でしたが、2016年に発生した熊本地震で最も大きな被害が出た益城町で行われた調査によると、「81-00木造住宅」で倒壊した木造住宅が2割にのぼることが分かりました。それから「81-00木造住宅」においても耐震補強工事が必要だという認識が強まってきました。 そう考えると、「新耐震基準の家だから大丈夫」という認識は誤りといっても過言ではありません。今は1981年〜2000年の間に建てられた新耐震の家も、耐震化の対象になり得ると考えてもよいでしょう。
耐震診断の調査結果から耐震診断書を作成します。耐震診断の結果は、総合評点に基づき4段階で評価します。
そのうち上2つ、総合評点1.0以上の「倒壊しない」・「一応倒壊しない」であれば、耐震性があると判断されます。一方、「倒壊する可能性がある」・「倒壊する可能性が高い」の場合は、大地震によって大きな被害が生じる可能性が高いため、耐震補強による対策が必要となります。耐震診断では、人命保護に重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目的としています。
(※https://www.mokutaikyo.com/taishin/木耐協のホームページより一部抜粋)
耐震診断の結果によって補強工事が必要となった場合は工事の方法と内容を決めていきます。耐震補強工事には様々な方法がありますが、目標とする耐震性(評点)と予算に応じた補強工事を組合せ、優先順位をつけながら施工箇所を考えていくのが補強設計です。一般的な補強工事としては、壁の補強、基礎・柱の補強、そして屋根の軽量化があります。壁や柱は構造体として重要な役割を果たしているので、ここがしっかりしていなければ安心して住むことができません。
「わが家はまだ大丈夫」とご自宅の安全性を過信せずに、災害が起こる前に一度しっかりと耐震性を調べておくことが大事なのではないでしょうか。
近年日本の各地で頻発する大地震を自分ごととして考え、日頃から防災意識を高めておくことが重要です。ご自宅の耐震性に少しでも不安がある場合はお気軽にご相談ください。
届けするタイホウ建設です。
最大震度7を観測した能登半島地震。
年始早々に日本を襲った厄災は、私たちが地震大国に住んでいることをあらためて実感する出来事でした。 今回の地震では人命を奪うような津波の被害こそなかったものの、犠牲となった方々の死因として家屋倒壊による圧死が大半を占めることや、避難所生活や環境変化などから体調が悪化して亡くなる「災害関連死」が少なからず見受けられることなどが問題となっています。このように、本来は私たちを守るはずの“家”が災害時には機能しなくなり、それによって死に至ってしまう。こ
の現実に私たちは疑問を感じずにはいられません。
そこで今回は、災害時にご自宅が安心して過ごせる場所として機能するために、日頃からできる備えと在宅避難の重要性についても解説していきます。
精神的にも肉体的にも負担が大きい避難所生活
近年の東日本大震災や熊本地震、そして今回の能登半島地震では、地震や津波による直接的な要因によって死亡する「直接死」のではなく、その後の生活で命を落としてしまう「災害関連死」が注目されるようになりました。災害関連死の定義としては、「当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの(実際には災害弔慰金が支給されていないものも含めるが、当該災害が原因で所在が不明なものは除く。)」とされています(※https://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/pdf/r01kaigi/siryo8.pdfより抜粋)特に熊本地震では、地震が直接の原因で死亡した人は50人でしたが、生活環境の悪化などによって亡くなる災害関連死と認定された人はその4倍以上の200人余りに上ったという驚きの結果となっています。
ニュースなどで避難所生活の様子が報道されていますが、実際の避難所生活には想像以上の大変さがあると思います。大空間での集団生活はプライバシーの確保が難しいだけではなく感染症や犯罪のリスクなど様々な問題を抱えています。さらに持病のある方や妊娠中の方などは十分な医療行為を受けることができず、体調が悪化してしまうこともあります。このように、避難所という場所が、本来の目的である「難を避ける」からほど遠い状態にある中で、私たちはどのようにして自らの命を守ればいいのでしょうか。
在宅避難とは
在宅避難とは、地震などの災害が発生した際にご自宅に倒壊や浸水の危険性がなければ、そのままご自宅で避難生活を送ることです。避難生活といえば避難所を思い浮かべことが一般的かと思いますが、避難所とはそれがどこであろうと「難を避ける」ことができる場所なので、避難所よりもご自宅の方が安全かつストレスのない環境であれば在宅避難も十分に可能ということです。在宅避難になると、周囲から孤立して必要な物資や情報を得られないのではないかという心配もあるかと思いますが、ご自宅と避難所の両方を使い分けて必要に応じて避難所を利用することもできます。避難所生活はあくまで選択肢の一つと考えて、災害時には在宅避難を考えてみてはいかがでしょう。
在宅避難を推奨する理由
私たちは日頃から耐震補強の重要性を地域の皆さまに伝え続けています。タイホウ建設が拠点とする品川区は都内でも有数の狭小地エリアで、ほとんどの地域は古い木造住宅が密集しています。さらに、区画整理が及んでいない地域に至っては、接道(道路と敷地が接している部分)の幅が2メートル未満の、いわゆる“再建築不可”に該当する物件も多く存在しているので、昔の建築基準法で建てられた古い木造住宅にそのままずっと住み続けている方も多くいらっしゃいます。もしこのような場所で大地震が起きたらどうなるのでしょうか。倒壊した家、あるいは倒壊の危険性のある家に住んでいる方はおそらく避難所生活となるでしょう。しかし、人口の多い地域では避難所となるような施設が十分に確保されない可能性があることや、もし避難所が確保されたとしても物資の不足や感染症のリスク、衛生面やプラバシーの問題などからストレスの多い生活になり、心身共に疲弊していくことが予想されます。
私たちが在宅避難を推奨する理由としては、このように避難所が安心・安全とは程遠い場所となり、さらには私たちの命を縮めるものとなってしまうこともあるからです。
ガス・水道・電気等のインフラが復旧するまでの数日〜数週間は不自由な生活が余儀なくされ、どこに避難していようとも心身共にストレスが大きいことでしょう。しかし、そのような時こそご自身が一番安心できるご自宅で、少しでも日常に近い生活を送ることが大切ではないでしょうか。
理想は在宅避難が可能な家であること
災害時の避難所生活は避けたい。できれば在宅避難をしたい。しかしどのような家でも在宅避難が可能なわけではありません。
そこで、在宅避難が可能な家の条件とはどのようなものなのか具体的にみていきましょう。
まず建築面。本震の時に倒壊していないことはもちろんですが、その後断続的に起こる余震でも倒壊しないことが重要です。災害直後にご自宅の倒壊リスクを見極めることは難しいですが、損傷度合いや築年数、構造などから慎重に判断し、大丈夫であれば在宅避難が可能になります。また、ご自宅の場所がハザードマップで津波や土砂災害、高潮・河川氾濫による浸水のリスクがないことも確認が必要です。特に沿岸部では津波や高潮の危険があるので、家自体に倒壊リスクがなかったとしても十分に注意しましょう。
次に物資面。在宅避難をする場合、必要な物資はご自宅で賄うことが理想です。近隣の避難所や災害拠点などに支援物資を受け取りに行くことも可能ですが、行き帰りで被災するリスクなどを考えると、なるべくならご自宅に留まる方が安全といえます。そこで、在宅避難するために必要な備蓄品について一例をご紹介します。目安としては最低でも3日分、できれば7日分の備蓄があるとよいでしょう。
・飲料水(1人1日3ℓ)
・非常食(調理せずに食べられるもの、缶詰、レトルト食品など)
・カセットコンロ
・簡易トイレ
・トイレットペーパー
・ウェットティッシュ
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
他に、乳幼児のいるご家庭ではミルク、ほ乳びん、離乳食、スプーン、おむつ、おしりふき、着替えなど。要介護者のいるご家庭ではおむつ、着替え、障害者手帳、補助具等の予備、そして妊婦のいる家庭では脱脂綿、ガーゼ、母子手帳、新生児用品など必要になってきます。
これだけのものを日頃から備えておくことはなかなか難しいですよね。そこで、日常の中に食料備蓄を取り込む「ローリングストック(日常備蓄)」という考えがあります。
ローリングストックとは、普段から少し多めに食料品や日用品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料品や日用品を家に備蓄しておく方法です。消費と購入を繰り返すことで、備蓄品の鮮度が保たれるというメリットもあります。いざという時のために日常生活の中にローリングストックを取り入れ、日頃から災害に対する意識を高めておきましょう。
あなたの家は大丈夫?新耐震基準を満たしていることが最低条件?
ではここで、ご自宅の倒壊リスクについてさらに考えていきましょう。まず、今のご自宅が何年に建てられているのか調べます。日本では家を建てる際に建築基準法に準拠して設計していきますが、家の耐震性もこの建築基準法によって基準が定められています。
建築基準法は時代によって改正されていて、特に1981年(昭和56年)に大きく見直されました。1981年以前の耐震基準を「旧耐震基準」、1981年〜1999年の耐震基準を「新耐震基準」といいます。
1981年〜2000年の間に建てられた「81-00木造住宅」(ハチイチゼロゼロ)と呼ばれる建物は、新耐震ではあるものの、2000年に改定された現行耐震基準より耐震性能に不安が残ります。これまで国や多くの自治体が方針として進めているのは「旧耐震(1981年以前)」の木造住宅の耐震化でしたが、2016年に発生した熊本地震で最も大きな被害が出た益城町で行われた調査によると、「81-00木造住宅」で倒壊した木造住宅が2割にのぼることが分かりました。それから「81-00木造住宅」においても耐震補強工事が必要だという認識が強まってきました。 そう考えると、「新耐震基準の家だから大丈夫」という認識は誤りといっても過言ではありません。今は1981年〜2000年の間に建てられた新耐震の家も、耐震化の対象になり得ると考えてもよいでしょう。
まずは耐震診断を
ご自宅の耐震性を知るための第一歩として、耐震診断を受けることをおすすめします。 耐震診断の方法は、(一社)日本建築防災協会が定めています。詳しい内容は『2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」』に記載され、この診断法は全国で用いられています。耐震診断の調査結果から耐震診断書を作成します。耐震診断の結果は、総合評点に基づき4段階で評価します。
そのうち上2つ、総合評点1.0以上の「倒壊しない」・「一応倒壊しない」であれば、耐震性があると判断されます。一方、「倒壊する可能性がある」・「倒壊する可能性が高い」の場合は、大地震によって大きな被害が生じる可能性が高いため、耐震補強による対策が必要となります。耐震診断では、人命保護に重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目的としています。
(※https://www.mokutaikyo.com/taishin/木耐協のホームページより一部抜粋)
耐震診断の結果によって補強工事が必要となった場合は工事の方法と内容を決めていきます。耐震補強工事には様々な方法がありますが、目標とする耐震性(評点)と予算に応じた補強工事を組合せ、優先順位をつけながら施工箇所を考えていくのが補強設計です。一般的な補強工事としては、壁の補強、基礎・柱の補強、そして屋根の軽量化があります。壁や柱は構造体として重要な役割を果たしているので、ここがしっかりしていなければ安心して住むことができません。
「わが家はまだ大丈夫」とご自宅の安全性を過信せずに、災害が起こる前に一度しっかりと耐震性を調べておくことが大事なのではないでしょうか。
耐震補強工事のご依頼はタイホウ建設へ!
タイホウ建設は、全国で最も多くの耐震診断・補強工事の実績をもつ「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合」(※木耐協)に所属して日々研鑽を積んでいます。また、実際のご相談に対しては最初に無料の現地調査を行い、今後の方針をお客様と共に決めていきます。近年日本の各地で頻発する大地震を自分ごととして考え、日頃から防災意識を高めておくことが重要です。ご自宅の耐震性に少しでも不安がある場合はお気軽にご相談ください。